幼いころから「つくること」全般が好きで調理師、ハンドメイド作家に。ハウジーでは主婦の負担になりがちな毎日の料理を楽しめるよう、ちょっとしたヒントをお伝えします。また「大人の食育」に直結する料理のおもしろさをシェアしたい!北海道での菜園づくりや調理の工夫はブログとインスタグラムでも発信しています。
よく揚げ物をするご家庭は、やはり揚げ物バットがあると便利です。新たに購入を検討するのなら失敗したくないですよね。
そこで、素材やサイズなど、タイプの異なる3つのバットを家庭のキッチンで実際に使って、使い心地を試してみました。
【調理師が教える】揚げ物バットを選ぶときのポイントは?
そもそも揚げ物バット(天ぷらバット)って必要なのでしょうか? 揚げ物バットでなければ油を切ることができないのかというと、そんなことはありませんよね。
そこで、新たに購入するのなら、他の用途にも使えるお得感のあるものがおすすめです。
<揚げ物バットの選び方>
- 邪魔にならないサイズ感か
揚げ鍋のそばに置けるサイズ、収納場所に入るサイズかなど - 好きな素材か
サビに強いステンレス、軽いアルミ、おしゃれなホーローなど - よく作る料理に合った機能か
天ぷらやフライ、素揚げなど、揚げ物の種類に応じた機能があるかなど - 他の調理にも使いまわせるか
揚げ物以外の他の用途にどれだけ使えるかなど - 後片付けが楽か
家庭のシンクで洗いにくい重さ、食洗機に入らないサイズではないかなど
「ステンレス製」「アルミ製」「ホーロー製」のバットを実際使って比較してみたので、その使い勝手をご紹介しますね。
【調理師がおすすめする】ステンレス製の揚げ物バットとは?
ステンレスは酸や油に強く、揚げ物バットによく採用される素材です。厚みのしっかりしたものになると重量感があるため、ステンレス素材の揚げ物バットは、重さが気にならないコンパクトなタイプがおすすめです。
ステンレス製揚げ物バットを選ぶなら「18-8ステンレス」のものを
ステンレス鋼の中でも強度が高く、高級感がある「18-8ステンレス」。鉄にクローム18%ニッケル8%を配合された素材です。「18-8ステンレス」は、酸や油、熱に強いので、他の用途に使いまわすこともできます。ただし、磁石は付かないのでIHコンロで加熱はできません。
ちなみに、「18-0ステンレス」を使ったキッチン用品もあります。これは、クローム18%配合で強度は十分、磁石が付くのでIHでも使えます。「18-8ステンレス」に比べると耐久性はやや劣りますが、比較的安価な素材です。
しかし極端に安価なステンレス製品はクロームの配合が低く、ニッケルは配合されていないものがほとんど。そのため、酸化しやすく「ステンレス」でありながらサビや変色が出やすかったり、強度が低かったりします。安価なもので代用する場合には覚えておきましょう。
【調理師がおすすめする】ステンレス製揚げ物バットは?
ステンレス製の揚げ物バットのおすすめは、こちらの「ステンレス連結バット」。調理用バットと揚げ物バットがセットになっているので、フライをよく作る少人数家庭にぴったり。
網付きバットの他に、フライの衣付けに便利な調理バットが3つ付いています。バットのサイズは3つとも幅15.3×奥行24.2×高さ3.7cm。とんかつ用の大きなお肉が1枚入る大きさをイメージしてください。
この縁の返しで連結が可能。小さいですが適度な重さがある上に連結できるので安定感があります。
使わないときは、すべてひとつに重ねられるのでコンパクトになります。網は突起により固定できるので、収納時にガチャガチャしない作りとなっています。
また、こちらの連結バットは「18-8ステンレス」なので、食品の一時的な保存にも向いています。使いかけの食材を入れたり、ゼリーの型に使ったり、小さいスポンジケーキを焼いたりと、コンパクトなサイズと全部で4つあるバットを生かしてフル活用できそうです。
【調理師がおすすめする】「ステンレス連結バット」を使ってみました
バットは揚げ鍋のそばまで持っていって、揚げ物を受けやすい大きさです。小さいので、コンロ奥のスペースや鍋の手前にも置けました。
ただ、たくさんの揚げ物を載せるには小さすぎます。いったんこの網に取ってから、随時お皿に移していくのならOK。食卓にそのまま出してもよい大きさですので、食卓で揚げながら食べるときにも便利です。
【調理師がおすすめする】アルミ製の揚げ物バットはとは?
アルミ製の揚げ物バットは、大きくても軽いのがメリットです。アルミはとても軽い素材なので、大きなサイズでも扱いやすいです。熱伝導率が高く、熱しやすく冷めやすいという特徴もあります。
しかし、柔らかい金属のため、強くぶつけるとへこみができることがあります。ナイフなどの硬い金属でも傷がつきますので注意しましょう。
アルミ製揚げ物バットを選ぶなら「アルマイト加工されたもの」を
アルミはステンレスと違い、酸化しやすい素材です。でもアルマイト加工された調理道具なら、その欠点がカバーされています。
アルミ製の揚げ物バットはアルマイト加工されているかを確認して選びましょう。とはいえ、アルマイト加工されていても酸や塩分の強いものを長時間載せておくと黒ずみの原因になるので注意してください。
【調理師がおすすめする】アルミ製の揚げ物バットは?
アルミ製(アルマイト加工)の本体にステンレス製の仕切り網がセットになった「揚げ物名人」。最大の特徴は、仕切り網に揚げ物を立てて並べられるようになっていること。天ぷらやかき揚げが多い家庭におすすめです。大きなとんかつも重ねずに立てられます。
また、この立てる仕切り網部分は取り外したり位置を変えることができ、どんな揚げ物にも対応できる構造です。
「揚げ物名人」にはMとSがあり、仕切り網の数が違います。Mサイズは仕切り網が3つ、Sサイズには2つ付いています。
Mの中にSを入れると横がぴったりはまります。
なお、同じ大きさ同士はきれいに重なります。複数購入を考える際の参考にしてください。
【調理師がおすすめする】アルミ製「揚げ物名人」Mサイズを使ってみました
仕切りが3つあるMサイズの使用写真です。揚げ物の種類ごとに分けて並べられます。こうしておくと、一人分ずつ盛り付ける際に種類を選んで取りやすくてよかったです。また、揚げかすと仕切ることができるのが、意外に便利に感じました。
揚げ物を立てておくことで蒸気が抜けやすくなり、ベチャッとなりにくいことや、重ねなくていい点は大きなメリットです。
そして、アルミ素材は本当に軽い!洗うときも苦になりませんでした。アルマイトって昔の給食用バットを思い出す懐かしい素材でもありますね。この素材が好きな人にもおすすめです。
【調理師が提案】アルミ製揚げ物バットの便利な使い方
アルミは熱伝導率が高いため、食品を急速冷凍するのに向いています。まとめ買いしたお肉を小分けにして冷凍する際には、アルミ製バットに載せたまま冷凍します。2枚のアルミ製バットで食材を挟むように冷凍するとなおよいでしょう。
また、冷凍したものを解凍する際にこのバットの上に載せて室温に出しておくと、早く解凍ができます。
食品の「冷凍・解凍」にも使おうと考えている場合は、冷凍庫内のサイズをチェックして買うようにしましょう。わが家の冷凍庫にはMサイズとSサイズが2つ並べて入りましたが、Mサイズ2つを並べるのは難しそうでした。
ただしアルミは酸に弱いため、味付けした食材の長時間の直置きや料理の保存には使わないようにしてください。
【調理師がおすすめする】ホーロー製の揚げ物バットは?
ホーロー製品はかわいく清潔感のあるイメージが強く、お好きな方も多いですね。ホーローは金属にガラスの釉薬(ゆうやく)をかけているため、酸や油に非常に強いという特徴があります。
しかし、ぶつけたり落として釉薬に欠けができると、そこからサビが生じますので取り扱いには注意しましょう。ホーロー製は重量感があるので、あまり大きいサイズは使いにくいかもしれません。
【調理師がおすすめする】ホーロー製の揚げ物バットは?
ホーロー製品「ブランキッチン」シリーズの揚げ物バットです。パッケージもかわいいので、プレゼントにおすすめ。
幅24×奥行18×高さ5cmと、比較的コンパクトなサイズです。前述のステンレス製バットやアルミ製バット(写真はSサイズです)と並べてみると、このくらいの大きさの違いがあります。
【調理師がおすすめする】ホーロー製バット「ブランキッチン」を使ってみました
小さめのサイズなので、天ぷら鍋のそばに置いても使いやすいですし、重さも気になりません。コーナーの丸みがゆるやかなデザインで洗いやすいのもいいと思います。白い色がキッチンを明るくしてくれるのもうれしい点ですね。
【調理師が提案】ホーロー製揚げ物バットの便利な使い方
ホーロー製品は酸に強いので、酢を使うサラダや揚げ浸しなどの調理に使うことができます。大皿がわりに食卓にも出せるサイズです。
また、オーブンに入れてグラタン作りにも使えます。ただし、熱い状態で冷たい水をかけたりして急激な温度変化を与えると、表面の釉薬にヒビが入ってしまいますので気を付けましょう。
ライフスタイルに合わせて、揚げ物バットを選んでください
揚げ物をおいしく作るための揚げ物バットについて比較・解説しました。
揚げ物をよくするご家庭なら、専用の揚げ物バットがあるとやはり便利さを感じるはず。家族の人数、揚げ物の頻度や揚げ物の種類などに合わせて、最適な揚げ物バットを選んでくださいね。