図書館司書の経験を活かし、日常生活に役立つ情報や疑問について文献調査や専門機関への取材・実験などを行いながら日々お役立ち情報を発信しています。 6歳の男の子ママとしての立場から子育てに役立つ記事も執筆♪
お米をちゃんと米びつに保存した方がよい2つのワケ
「わざわざ米びつに移し替えるのは面倒」「買ってきた袋のまま置いておけばいいのでは?」という方もいらっしゃるかもしれませんね。そもそも、なぜお米を保存するのに米びつを使うのでしょうか?
実は、ちゃんとした理由があります。
保存しているとお米のおいしさが損なわれるワケ
お米は精米したてが最もおいしい状態。でも、お米は一日に食べる分だけを少量買うという事が難しい食品なので、ある程度の期間は家で保存しておく必要がありますよね。
お米を保存するときに、特に気をつけたいのは……
- 乾燥(お米が割れる)
- 湿気(カビの発生)
- 高温、直射日光(虫の発生、米の酸化)
- におい移り
- 空気に触れる(酸化による米の劣化)
という5つのポイント。これらからお米を守らないと、おいしさや鮮度はどんどん失われてしまいます。
お米をパッケージのまま保存してはいけないワケ
購入してきたパッケージ(お米の袋)には、袋の破裂や荷崩れを防止するために開いている空気穴があります。湿気の多いところに置いておけば、袋の中のお米がカビてしまったり、虫が発生したりというトラブルのもとに……。そうでなくても、空気穴があるとそこから入る空気で酸化してしまうため、お米の風味はどんどん劣化してしまうのです。
買ってきたお米を、米びつのようなお米の保存に適した機能を持つ容器などに移し替え、涼しい場所で保管することは、とても重要。少しでもお米のおいしさや鮮度を長持ちさせるためにも、お米は必ず米びつなど密閉性のある容器に入れて保存しましょうね。
失敗しない米びつを選ぶときのポイント3つ
お米を乾燥や湿気などの大敵から守り、おいしさを保ってくれる米びつ。米びつ選びで失敗しないためには、チェックしておきたい3つの条件があります。
密封性の重要さは、ここまでに述べてきましたね。
使いやすさは、例えば冷蔵庫内で使える米びつなどの場合、持ち手がついていて出し入れしやすいとか、中のお米をすくいやすい形状かなど、人によって使いやすさの基準やポイントは色々とあるかもしれませんね。
また、お手入れのしやすさも大事。
例えば、1合ずつお米をはかれる計量機能付き米びつは人気ですが、中があまりに複雑な構造になっている場合十分にお手入れが行き届かないことも……。米びつは意外と汚れていることも多いので、プラスチック製の計量米びつを選ぶときは、分解のしやすさや洗いやすさなどもしっかりチェックしましょう。分解してまでお手入れが面倒だという方は、他のタイプの米びつを選んだ方がよいでしょう。
【STEP1】米びつの置き場所を決めよう
先ほどのお米の保存で気をつけたいポイントを踏まえると、お米を美味しく保存する理想の場所は限られてきます。
「乾燥しにくい場所」「温度変化が少ない場所」「湿度が高くない場所」「直射日光が当たらない場所」「におい移りの心配がない場所」という5条件を満たした場所に保存するのが理想です。
よくある置き場所
使い勝手を考えると、お米はやっぱり炊飯する近くには置いておきたいもの。つまり、基本的にはキッチンのどこかに置くというのが前提になると思います。
よくある置き場所としては、食器棚の下段、パントリー(食糧庫)、調味料や鍋などと一緒に引き出し収納にしまう、つり戸棚、キッチンラックなどの収納棚、コンロ下などです。
キッチンの隙間を上手に利用してもいいかもしれませんね。
幅約15cmのコンパクトな米びつ。1回のレバー操作で0.5合を計量できるので、細かく計量してお米を炊きたい人におすすめです。
22kgの大量のお米が、わずか20cmの隙間に収まる米びつ。レバー操作で1合と2合を計量でき、ご飯をたくさん食べるおうちでも、素早く必要量を計量できます。
なるべく避けたい置き場所
キッチン内のスペースは限られているので、難しいかもしれませんが、お米の保存場所としてできれば避けたい場所があります。
例えば、電子レンジやトースターなどの調理家電のすぐ横などは、温度変化があるので適していません。
シンク下は、湿度が高めなのと、すぐ近くに水道管が通っているため温度変化もあります。シンク下に洗剤のストック等をしまっている場合は、におい移りにも気をつけないといけません。
とはいえ、どうしてもこの場所にしか置けないということもあるかと思うので、その場合は米びつを選ぶときに、材質や密閉性に気をつける必要があります。
ベストな置き場所
冷蔵庫はお米にとっては高温多湿や直射日光を避けられる保存場所なので、とてもおすすめです。
気をつけたいのは庫内は乾燥しやすいということと、他の食品のにおいが移りやすいということ。
なので、容器の密封性はとても大事なポイントです。
密封性のある米びつに入れることで、酸化やにおい移りなども避けやすくなりますよ。
冷蔵庫内で、一番良い温度と湿度に保たれているのは「野菜室」。
お米も野菜と同じく生鮮食品といえるので、なるべくここで保管するのが理想です。
パッキンで密閉してお米を乾燥やにおい移りから防ぎます。中折れ式のフタになっているので、引き出しを全開にしなくても中身を取り出すことができます。5kg入り用。
キッチン以外の置き場所
ちなみに、実家からお米を送られてきた場合や、大量にお米を購入したという場合もあるかと思います。
その場合は、さすがに冷蔵庫はもちろんキッチンに全部置くのは難しいため、納戸など家の中の「湿気の少ない冷暗所」を探して保管してください。
すぐに食べたい分だけをキッチンに置くというふうにしてもよいでしょう。
光を通さず、防虫・除湿に優れたトタン製です。大量のお米で重くなっても、キャスター付きで移動がラクラクです。20kgが入る大容量サイズです。
【STEP2】米びつの容量の決めよう
意外と、米びつの大きさって重要なんです。
米びつの大きさ(容量)を決める時、「大は小を兼ねる!」とか、「場所取りそうだから小さめで!」など、適当に決めてしまわないようにしましょう。
常温で保存する場合
お米は精米後、時間が経てば経つほど、風味が落ちてしまいます。
なので、あまり大量に買い過ぎないように気をつけたいですね。
お米には精米した日付が書かれていますが、賞味期限は書かれていません。
でも実は、おいしく食べられる期間というのは存在します。
お米を美味しく食べられる期間の目安
- 春・・・・・・約1か月
- 梅雨頃(5~7月)・・・・・・20日~25日
- 夏頃(7~9月)・・・・・・15日
- 秋冬・・・・・・約2か月
特に気温や湿度の高い季節は要注意です。普段の食生活(外食が多い、パンを主食にすることが多いなど)や家族構成によっても、お米の消費ペースは異なりますよね。
おいしくお米を食べられる期間と一度に購入する量を目安に、どのくらいの米びつの大きさが必要かを考えてみてくださいね。
冷蔵庫内で保存する場合
通常は一度に購入するお米の量に合わせて米びつの大きさを考えますが、「冷蔵庫内にお米を保管したい」という場合は、そういうわけにもいきません。冷蔵庫内に入らないサイズの米びつを選んでも本末転倒ですからね。
庫内のスペースは限られていますし、他の食品もいっぱいあるため「ここにしか入らない」という制約もあると思います。
冷蔵庫内で使える米びつには縦型と横型のタイプがあるので、冷蔵室・ドアポケット・野菜室など、使いたい場所に応じて選びましょう。
なお、冷蔵室に置く場合は高さにも気をつけてくださいね。
傾けるだけでポケット部分にお米が入って、1合の計量ができる米ポットです。冷蔵庫内の空きスペースにスリムに収納できます。2kgが入るサイズです。
お米12合分を1合ずつに分けて保存でき、取り出すときは必要量のキャップをスライドするだけ。忙しい時間に計量する手間もなく、簡単に取り出せます。
パッキンでしっかり密閉して保存できる10Kg用の米びつ。「すり切り棒」が付いているので、お米をカップですくったあとすり切れば、正確な分量を片手で測ることができます。
【STEP3】素材別の特徴を知って決めよう
最後は材質の選び方です。
例えば、キッチンの目につく場所だと、見た目も気になるかもしれませんし、湿気の多い場所だと水気に強い材質のものがよいですよね。
好みにもよりますが、置き場所にあった材質かどうかもきちんとチェックしましょう。
ここでは簡単に、米びつの主な素材についてご紹介します。
長く愛用できる「桐製」の米びつ
昔からある米びつと言えば、桐で作られた米びつを一番に思い浮かべる方も多いでしょう。桐には虫除け効果や湿度調節機能があります。このため、よほど温度の高いところでなければ、常温でも十分においしく保存することができます。
プラスチックのものよりは高価ですが、しっかりとした作りで耐久性もあるため、一生ものとして長く使えるのもうれしい点。お米を長期保存するのに、もっとも向いているといえます。
桐タンスの職人が作った、隙間なくぴったりと収まる気密性の高いひと品。バーをスライドさせるだけで1合が計量できます。5kg用。
10kgも収納できるのに、底面の面積はA4用紙サイズ以下というコンパクトさ。木目模様がつながるよう設計された美しいひと品です。
冷蔵庫のドアポケットに収まる小さめサイズの2kg用の桐製米びつです。少量ずつ食べる方や、少しずつ精米して入れ替える方におすすめです。
機能的で使いやすい「プラスチック製」の米びつ
米びつの中でも、もっとも主流の材質です。
桐のような特性はないですが、湿度の高くない場所を選び、虫除け材を活用することで、こちらもおいしくお米の保存が出来ます。
なにより正確にお米を計量できる計量機能付き米びつなど、機能的なものが多いのも魅力。
デザインや形状などのバリエーションも多く、冷蔵庫内で使えるものはほとんどがプラスチック製の米びつです。
本体の形と付属の計量カップがぴったりと合い、最後までお米をすくいやすいよう計算されたtowerの米びつです。パッキン付きのフタで、お米を湿気や酸化からしっかりと守ってくれるので安心。5kg用。
レバーを引くだけでラクラク計量できるの米びつ。6kg入るので、残り1kgをきったときに買ってきた5kgの米を継ぎ足せるというのも便利な点。
ドアポケットに立てて入れることはもちろん、冷蔵庫棚に横向きに入れることもできる2kg米びつ。クリアタイプの本体で残量がわかりやすくフタに計量カップが付いているのがポイントです。
見せる収納ができる「ガラス製」の米びつ
お手入れが簡単なことや、中身を確認しやすいことがメリットです。
密封性のあるものは湿気や虫の侵入もシャットアウトできますし、お米の収納場所がシンク下しかない!という方は、ガラス製の密閉容器も候補としてアリだと思います。
ただし他の素材に比べてかなり重く、割れやすいというデメリットもあります。
割れることが気にならなければ、見た目がおしゃれなものも多いので、カウンターなどに置いて「見せる」収納をしたいという方にはおすすめです。
思わずインテリアのように飾りたくなるかもしれませんが、窓辺など直射日光の当たる場所は避けてくださいね。
アンティーク風デザインのガラス瓶です。パッキン付きで密閉できるので、湿気や虫の対策ができます。広口タイプなのでお米の計量や詰め替えも簡単ですよ。
場所を選ばず置ける「ホーロー製」の米びつ
ホーロー素材は密閉性が高く、におい移りしにくいという点がメリットです。
また遮光性に優れているので、プラスチック製やガラス製の米びつに比べて場所を選ばず置くことができます。
お手入れが簡単で耐久性にも優れ、長く使えるのもうれしいポイントですね。
ただし落下などの強い衝撃を与えると表面のガラス質が欠けてしまうことも。欠けた部分はサビが生じやすくなるので、取り扱いには注意が必要です。
重くなっても運びやすい持ち手付きです。シンプルなデザインでインテリアの邪魔をせず置き場所を選びません。
冷蔵庫に入れても邪魔にならない角型サイズの保存容器。清潔感のある白いホーローで冷蔵庫に入れていても見た目もすっきり。米びつ以外にも漬物や食材の保存容器にも使えるアイテムです。
大量保存に便利な「金属製」の米びつ
気密性があり、昔から便利な米びつとして親しまれてきた材質のひとつです。少しレトロなイメージですが、最近ではおしゃれなカラーや柄入りのものまで見られるようになりました。
金属製なので、洗った後に直接日光に当てて天日干しが可能です。日光消毒が出来るので衛生面でも安心ですね。サイズも大きめのものが多いので、大量のお米を保管したい方に特におすすめです。
レトロでおしゃれなトタン素材。木製のつまみと取っ手がかわいいアクセントになっています。お米を長持ちさせながらインテリアにもなる米びつです。
6kgも入るサイズながら、幅はわずか10cm! キッチンのちょっとしたすき間に収まるのがうれしいアイテム。キャスター付きで、お掃除のときも移動しやすくラクラク。
インテリアになる「レンジ台一体型」の米びつ
キッチンをすっきりさせたいという場合は、インテリア主体で考えて米びつ付きのレンジ台を選ぶという手もあります。
レンジ台に必要なものをまとめて収納できるので、調理の際もキッチンの動線を短くすることができます。
12kgの米びつが扉内に隠されたキッチンラック。スライド式の収納棚が2段付いているので、炊飯器やポットなども熱がこもる心配なく使えます。
引き出し内にぴったり収まる5kgの米びつ付き。観音開きの扉内には食器や鍋を収納できます。
面倒なら……袋のまま保存できる米びつ
意外と面倒なのが、米びつの中身が少なくなった時のお米の移し替え。残ったお米を別の容器に入れたり、重いお米の袋を持ち上げて中身を移したり。
お米を袋ごと収納できる米びつなら、そんな面倒な移し替えの手間がありません。お米を直接入れないので容器を清潔に保つのも簡単です。
5kgのお米を袋ごと入れて、キッチンの引き出しに収まるのが便利なアイテム。スタイリッシュなtowerのデザインなので、カウンター上などに出しておいてもサマになります。
5kgの米が入って、16cmのすき間に収まるスリムサイズ。ふたをロックしておけば、お米を湿気と酸化から防げます。無洗米も計れる計量カップ付きです。
10kgのお米を袋ごと収納できるタイプ。大型のコロ付きで重いお米もラクに引き出せます。ふたの裏には防虫剤をセットできるケースが付いています。
保存場所に気をつけてお米をおいしく保存
米びつには様々な材質のものがありますが、どれもお米をおいしく保存することを目的に作られたもので、それぞれに優れた部分やよさがあります。
大切なのは、なるべく風通しの良い涼しい所を選んで置くということ。
ちなみに3人家族の私は「アスベル 計量米びつ」の6kgサイズを使っています。あとは、あなたのご家庭にあった米びつを選べば、きっとおいしいご飯を楽しめますよ。
ぜひ、お気に入りの米びつを見つけてくださいね。
おいしいごはんを味わうためのアイテムは、こちらでも多数紹介しています。ぜひご覧ください。
参考資料
社団法人 日本精米工業会「米袋への「お米の取扱い説明」表示に関するガイドライン」
吉田・渡辺・尊田著「図説 貯蔵食品の害虫」
東京山手食糧販売協同組合 公式サイト「精米を長く保存するとなぜ食味が低下するのですか?」検索日:2020/9/15
大郷グリーンファーマーズ 公式サイト「米袋で密閉されている間は、長期間保存しても大丈夫ですか?」検索日:2020/9/15