家事のコツや収納術、インテリアやおでかけにまつわる話などを通して「わたしらしい暮らし方」をご提案します
今回の比較実験で使用するアイテムをご紹介
今回の実験に使うフライパンを色々用意してみました。
樹脂などでフライパンの表面がコーティング加工されていますが、全てコーティングの種類が異なるものです。全部で5種類!
- 1.チェリオットフライパン(株式会社コーベック)フッ素樹脂加工
- 2.プレジデントストーン(和平フレイズ株式会社)フッ素樹脂加工
- 3.グランマーブル(和平フレイズ株式会社)マーブルコート
- 4.ダイヤモンドマーブルALキャスト(株式会社タフコ)ダイヤモンドコート
- 5.軽いねセラミック (パール金属株式会社)セラミックコート
フライパンのサイズはすべて、3~4人分用に最適といわれる26cmのものを選びました。
どれも定番と呼べる顔触れで、ホームセンターや量販店などでも、おなじみのフライパンですね。
ぱっと写真をみただけでも、結構さまざまなコーティング加工がありますね。
それぞれどんな違いがあるのか、本当にくっつかないのか、すごく気になります!
一体どんな実験をするのかと言いますと。
くっついたらすぐに破けてしまう……そんな「うすーくて繊細な薄焼きたまご」を、敢えて油を引かずに焼いてみます。
そんなわけで「ハウジー編集部」のキッチンには、実験材料が勢揃い。
今回は、わが編集部では初めてとなる「調理実験」です。
なんだかワクワクしてきましたね♪
コーティングがあれば油なしでもくっつかない?実際の調理で検証
それではさっそく、実験してみましょう。
どれも、油をひかずに調理しても大丈夫だと言われているコーティング加工されているフライパンです。
鉄フライパンやステンレスフライパンなど金属製のものでコーティングがないフライパンに比べると、元々これらのコーティング加工されているフライパンって、くっつきにくいイメージがありますよね。
ちなみに、一つだけ真っ白な見た目で目立っている、「軽いねセラミック 」というセラミックコートのフライパン。
これはアルミニウム合金の基板にセラミックで表面加工(コーティング)を施したものです。セラミックは陶磁器と同じ素材で、硬くて熱に強いのが特徴。
ちなみに、セラミックコートのフライパンでも色が黒っぽい物もありますよ。
調理実験の内容と主な手順
手順1.たまごを割り、菜箸でときます。
手順2.フライパンの中央が、140度になるまで中火で熱します。
温度を測ったのはデジタルサーモメーターという赤外線を当てて温度を測る温度計です。
手順3.フライパンには、油を引かずにたまごを入れます。
手順4.たまごを、まんべんなく行き渡らせ焼きます。
実験の様子は動画でもご覧いただけます。
低価格フライパンの実力はお値段以上?調理実験の意外な結果
1番手は、「チェリオットフライパン」。
ドラッグストアで購入した約400円くらいのお財布に優しいフッ素樹脂加工のフライパン。
先ほどご紹介した実験の手順通りに調理を進め、たまごの表面が、しっかり固まったところで火を消します。
薄焼きたまごとフライパンの間に、フライ返しをそっと入れてみました。
フライ返しは、スルッと入り、薄焼きたまごはくっついていない様子。
フライパンからお皿へ、薄焼きたまごをスムーズにのせることが出来ました。
さて、出来上がりは…
なかなかいい感じに焼けています。
価格が安くてもあなどるなかれ。
他のフライパンと比べるのが、とても楽しみになってきましたね!
コーティング別にチェック!気になる焼き上がりの差は?
さて、他のフライパンでもどんどん焼いていきましょう。
2番手は、「プレジデントストーン」。
先ほどと同じ「フッ素樹脂加工」ですが、お値段は2000円前後とややお高め。
同じようにフライパンの中央を140度まで熱して……焼きます!
このフライパンも薄焼きたまごはくっつかず、スムーズにお皿にのせることが出来ました。
しかも仕上がりがきれい。
3番手は、「グランマーブル」。
マーブルコートで、お値段は1000円前後。
中央がちょっと焦げていますが、こちらも薄焼きたまごはくっつかず!
最後は、「軽いねセラミック」。
セラミック加工で、お値段は2000円前後。
こちらのフライパンも、薄焼きたまごはくっつきませんでした。
でも、ポツポツとしたムラが気になります。
実験結果はすべて「くっつかない」をクリア!
油を引かなかったので、薄焼きたまごがくっつくフライパンもあるのでは?と思っていましたが、5つのフライパン、すべて薄焼きたまごはくっつきませんでした。
さすが「くっつかない」ということを売りにしているコーティング加工!
・・・恐れ入りました。
しかし正直、フライパンによって薄焼きたまごの出来栄えにこんなに違いが出るとは思っていませんでした。
「これって、本当にコーティング加工の違いが関係してるの?」
・・・というわけで、コーティング加工の種類とそれぞれの違いについて、もう少し詳しく調査していきたいと思います。
どう違う?マーブルコートやダイヤモンドコートのそれぞれの特徴
先ほどの実験でも使用した、表面がコーティング加工されているフライパン。
5つのフライパンを見て、ひと目でわかる違いといえば色!
セラミックコートの「軽いねセラミック」は白い!ひときわ目立ちます。
セラミック以外の物はというと、見た目だけではちょっと違いがわかりにくいかもしれません。
でも、よーく見ると色は違うし、石目模様のようなフライパンもある……。
実は、これら4つのフライパンは、みんな「フッ素樹脂加工」の仲間!
くっつきにくいフッ素樹脂で、フライパンの表面を加工するというベースは同じなんです。
フッ素樹脂加工フライパンの歴史と進化
フライパンの表面加工の中では、よく耳にする「フッ素樹脂加工」という言葉。
始まりは、1960年代にアメリカのデュポン社が発売したフライパンでした。
「テフロン加工のフライパン」って、どこかで聞いたことありませんか?
結構耳にするなぁと思われた方も多いと思います。
実は「テフロン加工」というのは商標名で、デュポン社の「フッ素樹脂を使った加工のこと」を指します。
ということは、つまりテフロン加工とフッ素樹脂加工は、コーティングの種類としては全く同じことなんですね。
「テフロン加工」という名前があまりにも一般化されているので、違う加工として認識されていた方もいるのでは?
ではでは、マーブルコート加工とダイヤモンドコート加工との違いはどうなんでしょう?
こちらについても、1つずつ特徴を見ていきましょうね。
フッ素樹脂加工の進化系?「マーブルコート」の特徴
まずは、マーブルコートから。こちらは、マーブル加工のフライパン「グランマーブル」。
マーブルコートのマーブルとは大理石のことで、フッ素樹脂加工に大理石の粉が混ぜ込まれています。
今度は表面をじっくりと見てみましょう。
表面の白い粒状のものが大理石の粉=マーブル。
粒子が硬いので、フッ素樹脂加工だけのものより、フライ返しやヘラなどのキッチンツールとの摩擦に強いといえます。
ダイヤモンドコードはくっつかない+コーティングの耐久性に注目!
お次は、ダイヤモンドコート。画像は実験で使用したダイヤモンドコートのフライパン「ダイヤモンドマーブルALキャスト」です。
ダイヤモンドコートは、フッ素樹脂加工にダイヤモンド粒子が混ぜ込まれています。
このフライパンは、マーブルコートとダイヤモンドコートが、ダブルで加工されています。
ちょっとわかりにくいですが、白い粒状のものがマーブルで、写真の緑色の矢印の先にある「青い小さな粒状のもの」がダイヤモンド。
ダイヤモンドは硬い物質ですから、ダイヤモンドコートは、さらに摩擦に強いといえますね。
マーブルコートもダイヤモンドコートも、コーティングの強度や耐久性をアップするため、フッ素樹脂加工に、硬い大理石やダイヤモンドを混ぜているんですね。
「コーティングが何層か」もフライパン選びの重要なポイント
フッ素樹脂加工の進化形、マーブルコートとダイヤモンドコートのそれぞれの特徴をあげたものの、ご紹介したフライパンはあくまでも一例。
メーカー各社が、オリジナルの技術で加工されているので、マーブルコートだから、ダイヤモンドコートだからこうだ……という絶対的な性能の違いは、はっきりいえないのが現実。
「じゃあ、使ってみないとわからないじゃない!」と思われるかもしれませんね。
確かにそうですが、フライパンを購入される際は、ここをチェック!
・・・それは、コーティングが何層か?という点。
例えば、こちらはダイヤモンドコートのフライパン「ダイヤモンドマーブルALキャスト」のパッケージ。
熱伝導が良いアルミ本体に、内面5層、外面3層のコーティングがされていることが記載されています。
特に内面が何層かは重要。
内面のコーティングが剥がれると、お料理がくっつきやすくなります。
使い方にもよりますが、層が多いほど、コーティングは長持ちすると考えられます。
ご参考までに。
まとめ
フッ素樹脂加工をはじめとするコーティング加工されたフライパンのそれぞれの特徴や、材質・加工の違いによる料理の出来上がりの違いについて色々とみてきましたが、いかがでしたでしょうか?
意外と深いフライパンの世界!
今度新しいフライパンを探す際にはぜひ、コーティングの種類やコーティングの層の数なんかもチェックしてみてくださいね。